epi:4 消失

パートシャルル　コジカ

忽然と私の目の前から愛が消えてしまった
あの天使に触れることが出来たのは
全部幻だったのか
どこを探しても今までが嘘のように私の魂の気配がない

半分だけ

ここが全く違う景色に見える
どう息をすればいいのか忘れてしまった様だ
私は激しい眩暈と共に目の前が真っ暗になった

めちゃくちゃに破壊された部屋


呆然と立ち尽くす私の耳に


どこか遠くの方でレンズを打ち抜かれたモニターが


ジジーッとなっているのが届く

わずかに残された画像を解析して


男が銃を手にこちらに向かって悠然と微笑むのが見えた







ぼんやりとその男を包む光の影は、プラチナのそれだった。







わざわざこんな証拠を残していくとは

私の血を分けた片割れであることは間違いのない事実

最悪の事が起こってしまった

あの男の手中に落ちた妻のことを考えると発狂してしまいそうだ

恐らくミシェルは私が気付くよりずっと前から
私のことを･･･いやマリナを見つめ続けてきたのだと思う

あらゆる犯罪行為に関して
その欲望の発端は全て見つめるという行為から始まるという

これはただの私に対する復讐ではないと感じる
もっと切実な何かがあるのだと

追い詰められた私の分身の、誰より近しい弟の魂を

わかっていながら救ってやることが出来なかった

私へのこれは罰かもしれない

しかし私もまた溺れながら救いを求める者だった
かの天使に出会うまでは。

この身に流れる血のためか
唯一の物を失った今にも
簡単に狂気へと誘われる自分がわかる

だが、そう簡単にはその淵には沈めない
何よりも魂の半分がまだこの世にいるのがわかるから
どうか無事でいてほしい

君を本当に失ったら･････もう全ておしまいなのだから

読んでくれてありがとう