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2011/04/14

epi:30光編 おやすみ、マリナ



パートミシェル&マリナ リンダ


朝食の並んだテーブルは見事で、焼きたてのクロワッサンにサラダ、ミシェルのいれた紅茶に、あたしの焼いた卵のプレート―――。
でもその中で、あたしの焼いた卵だけが異彩を放っていた。
「・・・マリナ、これは何だ?」
そう聞いてきたミシェルに、遠慮がちに答える。
「な、なにってプレーンオムレツよ・・・焼き始めた時までは」
語尾を小さく言って、あたしはミシェルのでかたを待った。
「マリナ、俺の知ってるオムレツってゆうのはラグビーボールのような形で、フワフワしてるんだけれど、お前のコレはオムレツと呼ぶにはあまりにも失礼だぞ」
呆れた顔であたしを見下ろすミシェルはいたずらっ子のようで、あたしは自分の料理を馬鹿にされたのも構わずに、少し嬉しくなってしまった。

epi:29光編 光のアーチ



パートミシェル&マリナ リンダ


あたしは腕に抱いていたミシェルの温もりの心地よさに、いつの間にか眠っていたようだった。

でも、気付くとミシェルの温もりはあたしの腕にはもうなく、この部屋にミシェルの匂いはなかった。
あたしは少し心配だったけど、ミシェルの気持ちを考え探しにいくのをやめ、まだ起きてない頭をそのまま壁にあずけた。



もう少し寝かせて・・・・
もしかしたら、朝になれば夕べのことがすべて夢になってるかもしれない。

epi:28光編 愛してるのに



パートミシェル リンダ


マリナが言った

「アンテロス」と

とても驚いた顔で・・・

今の俺をすり抜け時空を越えて

あの瞬間全てが終わった―――




epi:27光編 青紫の影



パートマリナ リンダ


2人の幸せな時間は、いつもあたしの話しから始まる。
だから、あたしはミシェルと何を話そうか、ミシェルがどんな話しなら喜んでくれるか、そんなことばかり考えて、午後の時間を過ごしている。
でも、時には考えていた内容よりも、もっと興味深いミシェルへの疑問に辿り着いたりしちゃって、好奇心旺盛なこのあたしが、その疑問を知らんふりできる訳もなく、結局はミシェルへの質問コーナーになっちゃうのよね。
今日も、湧き上がってきた疑問を押さえ切れなくなって、ミシェルの仕事部屋にお茶を持って行くのを口実に、ミシェルに聞いてみた。
「ミシェルお茶にしない? 今日のお茶はディンブラよ。ほらとてもいい香り、ミルクはどうする?」

2011/04/13

epi:26光編 幸せを知った今



パートマリナ リンダ


幸せで、本当に幸せでこのまま2人溶けてしまうんじゃないかな・・・

あたしとミシェルは、やっと分りあえたんだ。
すごく長かったようで、でも、苦しかったはずの日々の中にも、今思い返せばミシェルの不器用な生き方がにじみ出ていた気がする。
ミシェルはきっと苦しんでいたんだろう。
もうずっと―――きっと子供の頃から・・・
今ミシェルはあたしの中に安心を見つけたんだ、―――何年も何年も探してただろう。それはきっとすごく長い旅だったはず。


epi:25光編 ”人生のひと”



パートマリナ リンダ


「庭に出ないか?」

10時のお茶を終え、スケッチブックを抱えたあたしにミシェルが言った。
「ええ今出るとこだけど、なに? 取ってくるものでもある?」
「・・・そうじゃなくって、つまり―――オレと一緒に・・・」
「ん? なに?」
「オレと一緒に庭に出ないかといってるんだっ」
「え? えっえっー!!」
「なんだよ。俺が誘っちゃいけないのかよ」
「えっ、ち、違うの、ちょっとビックリしちゃって、心が嬉しさを出し忘れちゃったの。えっと、喜んでお供するわ、ミシェル」
急いで答えて、調子に乗ったあたしはミシェルの左腕に自分の右腕を絡ませた。
「なっなにすんだよ、はなれろよ」
「あらっミシェル、あんたがあたしを誘ったんだからエスコートしてよ。それ位常識でしょ」
ミシェルは怒ったけど、あたし見ちゃったもんね、ミシェルの頬がピンクになってたのを。


2011/04/12

epi:24光編 広がる心



パートミシェル リンダ


―――罪悪感



ミレーヌがとても恐ろしいものだと言っていた。
なぜ今、この言葉を思い浮かべるのか・・・
あの女―――ママンを壊した悪魔『罪悪感』
俺が罪悪感を持っていると?
誰に?
マリナにか?
それとも、もっと別の誰か・・・・・
―――まさか思い出したくもない、俺にソックリな片割れにか?
ハッ、そんな筈はない。絶対に・・・絶対にだ!
アイツやアルディが俺に罪悪感を持っても、何で俺がアイツに・・・
持つわけがない。
そんな事がある筈がないんだ・・・・・
俺がそこら辺に居る奴等と同じだというのか?
俺にそんな生易しい心が残っていると・・・
心なんてあるもんか、そんな物とっくに何処かに捨てて来たさ、俺が俺である為に。
俺に心はナイ。
そんなモノ持っていたら、今ココで生きてる訳がないんだ。
とっくの昔に俺と云う存在なんて、この世から消えていたはずだ。
今、俺が此処にいる。

epi:23光編 霞闇



パートミシェル リンダ


なんなんだっ! あの女は・・・
何で俺をイラ付かせる。
何でこんなに―――。

 
 
アイツは何も分かってない。
今、自分の腹の中に赤ん坊がいる事も、自分が無理やり此処に連れて来られたって事も、自分には、俺そっくりな夫が居るという事も。
その事実全てが、俺をイラつかせてる事も―――!

なのにアイツは無邪気に笑うんだ、俺に向けて・・・
体全部で・・・喜び笑う。
俺はアイツが笑うたび、言いようのない苦しみと、憎しみ―――それと同時に、何だか胸が締め付けられる様な感覚に襲われる。
そして・・・そしてアイツを思いきり、むちゃくちゃにしてやりたくなる。
むちゃくちゃに・・・・・この腕で、―――この胸に。

2011/04/11

epi:22光編 光風 



パートマリナ リンダ


さあさあ、戦うべき相手が分かったとなりゃあ、話は早いわ!
やっつけるだけよ!
意気込んではみたものの、うーーんミシェルの生い立ちっていう見えない敵じゃあ、私もどうしていいもんだか悩んだわ。
ご飯も一日四食に減らして、この大きな器だけの頭を、ひねったり叩いたり・・・
そんなこんなで、二日後ようやく答えを出した。
うんっ! ミシェルに付きまとおうっ。
とことん付きまとって、ミシェルは一人じゃないって事を、身をもって分からせて、それから徐々にミシェルの心を溶いていこう!
名案だわ! よしっ私達の幸せな未来と、ミシェルのあの素敵な笑顔の為にがんばろう!!
 

epi:21光編 霞光

注:21章から光編・闇編に分岐いたします。
この章をお読みになる前に、本編ポルトオシエル1~20章をお読み下さい。


パートマリナ リンダ


あの晩から―――
とても穏やかで素敵な日々を私達は送っていた。
もうこの世に怖いものなんてない。
ミシェルが私を見ていてくれる。
本当にそう思える日々が続いていた。

「ねえミシェル、こっちよっ! 早く」
とっても素敵なものを見付けて、私はミシェルに見せたくて、面倒くさがるミシェルの腕を目一杯引っ張って庭の端までつれて来た。
「ねぇコレを見てよ。ほら」
「ほら! 野ばらが咲いてるのっ!!」
「手入れが行き届いてるこの庭に、野バラが咲いたのよっ! 本当なら引っこ抜かれちゃってたかもしれないのに、こんなに綺麗に咲いたのよっ。奇跡でしょっ!」
「素敵でしょ」
「ねっ!」
「―――――――――」
「お前はこんなものが素敵だと言うのか? 人を無理やり引っ張り出して、こんな雑草を見せるために俺を連れ出したのかっ!」