2011/04/11

epi:22光編 光風 



パートマリナ リンダ


さあさあ、戦うべき相手が分かったとなりゃあ、話は早いわ!
やっつけるだけよ!
意気込んではみたものの、うーーんミシェルの生い立ちっていう見えない敵じゃあ、私もどうしていいもんだか悩んだわ。
ご飯も一日四食に減らして、この大きな器だけの頭を、ひねったり叩いたり・・・
そんなこんなで、二日後ようやく答えを出した。
うんっ! ミシェルに付きまとおうっ。
とことん付きまとって、ミシェルは一人じゃないって事を、身をもって分からせて、それから徐々にミシェルの心を溶いていこう!
名案だわ! よしっ私達の幸せな未来と、ミシェルのあの素敵な笑顔の為にがんばろう!!
 


「ねえ、ミシェル。私コソコソ何かをするの好きじゃないから、先に言っとくけど、これからしばらくの間、私あんたに付きまとう事にしたわ。よろしくね。」
「はあ!? マリナお前、今何て言った?」
「あらミシェル、あんた耳が遠いの? これからしばらくの間、付きまとうって言ったのよ」
「突拍子もない事を言うなっ! 冗談じゃない。
何で俺がお前に、付きまとわれなきゃならないんだっ!」
「何でも何も私決めたの。いいわね! 言ったわよ。」
「―――勝手にしろっ!!」
付きまとうって宣言したものの、これが案外大変だった。
もとからのコンパスの差はともかくとして、優雅な日々を送ってる様に見えたミシェルが、本当は結構忙しい人だったから。
分刻みのスケジュールにひっきりなしの電話、そうかと思えばパソコンにFAX、次から次へと動くのよっ!
私、ここ一週間で、2キロも痩せちゃったわ。
最近ご飯もあんまり喉を通らないし・・・そんなに今まで運動不足だったかしら?
「ね、ねぇミシェル。もう少しゆっくり歩かない?
あんたにとっては、早足でも、私にしたら全速力なのよ・・・」
「付きまとうって言ったのは、お前だろ。ペースを合わすのは、俺じゃなくて、お前の方だ。」
振り向きもせずにそう答えると、また別の部屋へと入っていった。
私はミシェルの入った部屋のドアが見える階段の踊り場に、腰を下ろして上を見上げた。
「この家、こんなに広かったんだぁ」
思わずこんな言葉が口をついた。
だって、この家で私が用があるのって2・3部屋で、他は開かずの間だと思っていたし、何よりミシェルに立ち入り禁止にされてたのよね。
「落ち着いてよく考えると、ここって家っていうよりは、屋敷よねぇ」
「どこが屋敷だって? マリナ」
私の独り言への予測もしなかった答えに振り向くと、ミシェルがいつの間にか私の前に立っていた。
「さあ、次へ行くぞ。」
えっ? ミシェルが私に声を掛けてくれた・・・?
「ねぇミシェル、今の私に言ったの? ねぇ!?」
「お前以外に誰が居るんだっ。生憎俺には、お前のように独り言を言う趣味はない。付きまとうんだろ、さっさと歩けっ!」
口調は怒ってたけど、何だかさっきまでよりも、ついてくのが楽になってる気がする・・・?
あー私ミシェルのこういう、さりげない優しさ好きだ。
押し付けがましくなく、解りづらくて、でも、あったかい。
もっともっと、ミシェルの良いトコ見付けよう。
もっともっと、ミシェルで私を一杯にしたいから。

よ~~しっ

「うぉぉーー、がんばるぞぉーーー!!」
「うるさいっ! マリナ静かに歩けっ!」


うっっ、怒られた。
こんなトコは好きじゃない・・・ケド。







読んでくれてありがとう




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