次の駅ですぐに乗り換えて引き返してきたけど、ホームにシャルルの姿はやっぱりなかった。
更にさらに落ちこんだあたしは、重い足取りでなんとか屋敷にはたどり着いたんだけど……どうせシャルルはいないだろうと思っていたから、執事さんやらみんなに玄関で取り囲まれた時には、心底仰天してしまったの。
「ああ良かった、マリナ様!! 皆心配して、パリ中を探し回っていたんですよ!
良かった、本当にようございました! シャルル様がお待ちです、さあ、お早く」
え!!? いるのっ、シャルル?!
心臓がバクバクいっちゃって、途端にパニックになってしまったあたしは、持っていた荷物を迫り来るみんなにむぎゅっと押しつけて、その場を逃げ出してしまったのよっ!
ひえっ、なんであたしったら逃げてるのよぉぉっ、シャルルの弁解を聞くんじゃなかったのっ!
どんな状況でも、めったに取り乱さないアルディのメイドさんたちの慌てぶりはとっても見たかったけど、あたしはすかさずそれをかいくぐって、廊下をひたすら走った。
「―――――――――マリナ!!」
背中に、聞き慣れた透明な声が刺さる。
シャルルのあんな大きな声、聞いたことないわ。
ああ、あんたの胸に飛びこんでいきたい。
何にも考えないで、ぎゅってしてもらいたいわ!
淋しいわ、シャルル。
あんたが恋しいわ!
バラバラの体と心が、こんなにも苦しいわっ。
あんたが欲しい、シャルル!
あたしは気持ちと裏腹に―――、ひたすら屋敷中を逃げまわってしまったの。
マリナ編 FIN
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